ピラティススタジオ経営は儲かる?売上の仕組みと黒字を続ける考え方

ピラティススタジオ経営は儲かる?売上の仕組みと黒字を続ける考え方

ピラティススタジオが儲かるかどうかは、空いている枠がどれだけ埋まるかと、どれだけ長く続けてもらえるかで大きく変わります。さらに、マンツーマンとグループでは、売上のつくり方と必要な費用が違います。

レッスンの予約が増えても、出ていくお金が多ければ利益は残りません。自分の店で、どのくらい売上が必要なのかを知ることが経営の出発点です。

私はfis株式会社代表の雪本(ゆきもと)です。大阪で今も直営のマシンピラティススタジオとパーソナルジムを運営し、全国のスタジオの集客や経営の相談にも、私自身が直接のっています。

この記事では、これから開業する方や、開業したばかりの方に向けて、お金の流れを整理します。忙しさだけで判断せず、利益を残して運営を続けるための考え方をお伝えします。

この記事でわかること

  • マンツーマンとグループで異なる売上と費用の仕組み
  • 赤字と黒字の境目を計算する方法と、毎月見る数字
  • 個人経営で利益を残す順番と、次の出店前の確認事項

先に結論

ピラティススタジオ経営では、今ある予約枠を埋め、会員さんが通い続けられる状態をつくることが基本です。

そのうえで料金と費用を見直し、オーナーの働く分も含めてお金が残るかを確かめます。

店舗を増やす判断は、今の店が自分だけに頼らず運営できるようになってから考えましょう。

売上は会員さんの数と月の料金から考えます

月額制の基本は、「月の売上=会員さんの数×ひとりあたりの月の料金」です。料金の異なるプランがある場合は、プランごとに計算して合計します。

回数券の場合は、「利用した回数×ひと枠あたりの料金」で、レッスンに対応する売上を考えます。月額制と回数券を両方扱う店では、それぞれを分けると整理しやすくなります。

ただし、回数券を販売して入ったお金には、これから提供するレッスンの分も含まれています。入金が多い月でも、すべてを自由に使えるお金とは考えないようにしましょう。

会員さんを増やせる人数にも、店ごとの限りがあります。マシンが空いていても、担当する人がいなければ予約は受けられません。

先に確認したいのは、実際に提供できるレッスンの枠です。営業時間だけでなく、休憩、清掃、入れ替えの時間も含めて考えます。

  • どの曜日と時間にレッスンを提供できるか
  • その時間を担当できる人がいるか
  • 会員さんが希望する時間に空きがあるか
  • 今の会員さんの予約を無理なく受けられるか

会員さんの数だけ増えても、希望の時間に予約できなければ通いづらくなります。売上を考えるときは、人数と予約の取りやすさを一緒に見ましょう。

マンツーマンとグループではお金の残り方が違います

マンツーマンは、トレーナーが会員さんと個別に向き合う形です。グループは、同じ時間に複数の会員さんが参加する形です。

予約の枠が埋まったカレンダーの前で話すオーナーとトレーナーのイメージ

比較するときは、料金の高さだけで判断しないことが大切です。同じ時間に受け入れられる人数と、場所や設備にかかる費用が違います。

比べる項目マンツーマングループ
レッスンごとの人数少ない多い
ひとりが払う料金の高さ高い傾向低い傾向
必要なマシンの台数少ない多い
同じ人数を教えるために必要なトレーナーの数多い少ない
必要な広さ小さめでも運営しやすい広さが必要になりやすい
向く場所個別対応を求める人が通いやすい場所複数人が継続して通いやすい場所

グループは、同じ枠の参加者が増えると売上が積み上がります。一方で、参加者が少ない時間も、家賃や設備の費用はかかります。

マンツーマンは、比較的小さな場所でも始めやすい形です。ただし、担当できる人と時間が売上の上限につながりやすくなります。

どちらが儲かるかを一律には決められません。自分が教えたい内容、その地域で通う人、必要な費用を合わせて判断します。

ポイント

比べたいのは料金の高さだけではありません。同じ時間に入る売上から、必要な費用を引いて考えましょう。

出ていくお金は毎月の基本費用と増える費用に分けます

費用は、予約が少なくても出ていくものと、レッスンや売上に合わせて増えるものに分けます。この分け方をすると、予約が増えたときに残るお金を考えやすくなります。

毎月の基本費用は、店を開けておくために必要なお金です。家賃のほか、固定の給料や予約システムの利用料などが当てはまります。

  • 家賃と共益費
  • 毎月固定で支払う給料
  • マシンのリース代
  • 予約システムや通信の利用料
  • 毎月の基本となる広告費
  • 水道光熱費の基本料金など

一方、担当したレッスンに応じて払う報酬などは、実施数が増えるほど増えます。決済手数料も、売上に応じて増える費用として分けておきます。

  • 担当したレッスンに応じたトレーナー報酬
  • 売上に応じた決済手数料
  • 利用に応じて増える洗濯代や消耗品代
  • 使用量に応じて増える水道光熱費

同じ支払いでも、契約や使い方によって分け方は変わります。広告費も毎月同額とは限らないため、自分の店の支払い方で整理してください。

マシンの返済とオーナーの働く分も確認します

マシンを借入で購入した場合は、毎月の返済も資金の計画に入れます。ただし、借りた元本の返済は、そのまま経費になるわけではありません。

帳簿上の利益と、手元に残るお金は別です。利益が出ていても、返済や設備の支払いによって手元のお金が減ることがあります。

また、オーナーが無報酬で働けば、見かけ上はお金が残りやすくなります。自分の生活費や働く分を確保できるかも、経営の判断に含めましょう。

個人経営と法人では、オーナーに支払うお金の扱いも異なります。税金や会計処理について、くわしくは公式の最新情報で確認してください。

赤字と黒字の境目は費用から逆算できます

損益分岐点(売上と費用が同じになる境目)が分かると、必要な売上を考えられます。まずは、毎月の基本費用を、売上からどれだけ残るかで割ります。

例:説明のための仮の数字です。毎月の基本費用を40万円、売上に応じて増える費用を売上の20%とします。

この場合、売上のうち基本費用を払うために残る割合は80%です。必要な売上は、次のように計算できます。

  • ① 売上から残る割合を出す:100%−20%=80%
  • ② 基本費用をその割合で割る:40万円÷0.8=50万円
  • ③ 売上50万円から増える費用10万円を引くと、40万円が残る

残った40万円と基本費用40万円が同じなので、この条件では売上50万円が境目です。ただし、これは条件を単純にした説明であり、利益が十分に残る売上ではありません。

仮の月額料金をひとり1万円とすると、必要な会員さんは50人です。この人数が通えるだけの予約枠があるかも、合わせて確かめます。

例の費用にオーナーの働く分や設備の買い替え分が入っていなければ、それらを追加して考える必要があります。返済や税金の支払いも含め、手元のお金が足りるかは別に確認します。

ポイント

赤字と黒字の境目は、目指す利益額ではありません。境目を超えた先に、生活や店の維持に必要なお金を残します。

個人経営で利益が残りにくくなる形を知っておきます

空き枠が多いまま料金を下げてしまう

予約が入らないと、料金を下げたくなることがあります。ただし、値下げによって必要な予約数が増える点には注意が必要です。

先に、空いている理由を分けて考えましょう。店が知られていないのか、時間が合わないのか、内容が伝わっていないのかで、対応は変わります。

料金を下げても、通える時間がなければ予約にはつながりません。空き枠を埋めるために、何を直すべきかを確認することが先です。

オーナーがすべてのレッスンを担当している

自分で教えることと、経営を考える時間を確保することは両立が必要です。予約で一日が埋まっても、費用や退会の状況を見られなければ改善が遅れます。

私も今の現場に関わりながら経営をしています。だからこそ、レッスン以外の仕事をする時間も、予定に入れることが大切だと考えています。

紹介と口コミだけに新しい入会を頼っている

紹介や口コミは、店を知ってもらう大切なきっかけです。ただし、いつ、どのくらい紹介が来るかを店側で調整するのは難しくなります。

検索で見つけてもらう準備や、店の情報を伝える方法も整えましょう。集客の入口を確認すると、予約が減ったときに取れる行動が増えます。

あわせて読みたい:ピラティススタジオの集客方法まとめ

入会があっても退会が続いている

新しい会員さんが入っても、同じように退会が続けば、会員数は増えにくくなります。集客だけを頑張り続けると、対応の負担や広告費が重くなります。

退会理由は、内容への不満だけとは限りません。予約の取りづらさ、生活の変化、通う目的とのずれなどを分けて確認しましょう。

黒字に近づけるには今の店を整える順番が大切です

  • ① 今ある枠を埋める

営業時間や店舗を増やす前に、今の空き枠を確認します。曜日、時間、担当者ごとに分けると、どこを改善するかが見えてきます。

問い合わせが少ないのか、体験には来るのに入会されないのかも分けましょう。空き枠があるという結果だけでなく、その前のどこで止まっているかを見ます。

  • ② 続けてもらえる状態をつくる

会員さんが通う目的を共有し、無理のない頻度で予約できる状態を整えます。担当者が変わっても説明がつながるよう、必要な情報を共有しておきます。

通わなくなってから理由を考えるより、通いづらさを早めに聞くことが大切です。強く引き留めるのではなく、続けるうえで困っていることを確認します。

  • ③ 料金を見直す

料金は、周囲の店と比べるだけでは決められません。提供する内容、担当者の報酬、家賃などを踏まえて、続けられる金額かを考えます。

変更を考える場合は、対象となる会員さんや開始時期、案内する内容も整理します。料金変更や契約の扱いについて、くわしくは公式の最新情報で確認してください。

  • ④ それから次の店舗を考える

今の店でお金が残り、運営を任せる準備もできてから次の出店を検討します。店を増やした後も、既存の会員さんへの対応を続けられることが前提です。

物件を探す前に、今の店で整えることを確認しましょう。出店の判断と、良さそうな物件を見つけた気持ちは分けて考える必要があります。

あわせて読みたい:ピラティススタジオの物件の選び方

次の店舗を出す前に確認したい危険サインがあります

私が経営の相談で出店を考える方と確認するのは、今の店を安定して続けられるかという点です。次の状態が残っている場合は、先に整えることを考えます。

  • ① 今の店に空き枠が多い

売上を増やしたくても、今の店が十分に使われていないなら、その理由を確認します。増やすべきものが、店舗数ではなく今の店の予約かもしれません。

  • ② オーナーが今の店から抜けられない

予約対応や現場の判断がすべて自分に集まっていると、次の店に時間を使いにくくなります。両方の店への対応が遅れる状態を避ける必要があります。

  • ③ 任せられる人が店の中にいない

出店を決めてから採用すれば間に合うとは限りません。採用後には、教える時間と、実際に任せて確かめる時間も必要です。

  • ④ 黒字がまだ数か月しか続いていない

短い期間の黒字だけでは、安定した結果か、一時的な予約の増加かを見分けにくくなります。予約が少ない時期も含めて、費用を払えるかを確かめましょう。

  • ⑤ 借入の返済が本格的に始まっていない

元本の返済が始まる前と後では、手元に残るお金が変わります。予定されている返済額をすべて払っても資金が残るか、計算し直します。

  • ⑥ 集客が口コミと紹介だけで成り立っている

今の店のつながりが、新しい地域でも同じように広がるとは限りません。新しい店をどう知ってもらうかを、出店前に考える必要があります。

これらは、ひとつ当てはまれば出店できないという意味ではありません。今の店の課題を、新しい店にも持ち込まないための確認です。

毎月見る数字は少なくても経営の確認はできます

最初から細かな数字をたくさん集める必要はありません。まずは、毎月の売上と支払いに加えて、次の項目を同じ方法で記録します。

毎月見る項目確認すること次に考えること
体験に来た人の数前の月から増えたか減ったか店を知ってもらう方法を見直す
入会した人の数体験後にどれだけ入会したか説明や通いやすさを確認する
退会した人の数退会が続いていないか理由と対応できる点を確認する
空いている枠どの曜日と時間が空いているか時間割や案内方法を見直す

体験者が増えても入会が増えない場合は、体験後の説明も確認します。料金や予約方法、通い方を、相手が理解できる言葉で伝えられているかを見直しましょう。

あわせて読みたい:体験レッスンから入会につなげる方法

月末には、数字を見て気づいたことと、次に変えることを短く残します。変える内容を絞ると、その後の結果も確かめやすくなります。

  • 売上と支払いを確認した
  • 体験・入会・退会の人数を記録した
  • 空いている曜日と時間を確認した
  • 翌月に改善することを決めた

よくある質問

ピラティスの個人経営でも利益を残せますか?

個人経営でも、提供できる枠と必要な費用が合っていれば利益を残せます。自分の働く分や生活費も含めて、無理なく続けられるかを確認することが大切です。

マンツーマンとグループは、どちらが儲かりますか?

料金、参加人数、家賃、設備、報酬によって変わります。どちらも、提供できる枠がどれだけ埋まり、費用を払った後にいくら残るかで判断します。

予約が増えているのにお金が残らないのはなぜですか?

料金に対して報酬や広告費が大きい場合や、返済などの支払いが重い場合があります。売上だけでなく、費用の内訳と手元のお金の動きを分けて確認してください。

次の店舗は、今の店が黒字なら出してよいですか?

黒字に加えて、返済後の資金と、運営を任せられる人がいるかも確認します。オーナーが離れても、予約対応やレッスンの質を保てる状態かが大切です。

まとめ

  • ピラティス経営では、今ある枠を埋め、会員さんに長く通ってもらうことが基本です。
  • マンツーマンとグループでは、売上のつくり方と必要な設備・人手が違います。
  • 売上から費用を引くだけでなく、返済とオーナーの働く分も確認しましょう。
  • 空き枠、継続、料金の順に整えてから、次の出店を考えます。
  • 毎月の体験・入会・退会の人数と空き枠を記録し、改善することを決めましょう。

あなたのスタジオに当てはめて考えたい方へ

この記事の内容を、あなたの店の場所・料金・予算に合わせて考えるのは、ひとりでは難しいこともあります。今もピラティススタジオを自分で運営している代表の雪本が、直接ご相談にのります。

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雪本 章夫

この記事を書いた人

雪本 章夫(ゆきもと)|fis株式会社 代表

大阪で全店直営のマシンピラティススタジオとパーソナルジムを運営しながら、全国のピラティススタジオの集客と経営の相談に、自分で直接のっています。

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